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資本金に関して・・・よくあるご質問をピックアップ

◎「資本金」って一度出したら…。
(ご質問)
会社を設立するときに、資本金を100万円出したら、その100万円はずっと残しておかなければいけないのですか?
(回答)
資本金の定義を簡単に説明しますと、設立した時点でどれだけの資金を用意できたかということを表す数字です。
「設立した時点で」というところがポイントです。
資本金100万円で設立したら必ず手持ち資金の残高を100万円以上にしておかなければいけないと考えていらっしゃる方がたまにいらっしゃいますが、設立後にいろいろ仕入れなどしたら当初の資本金の額から減っていって当然ですので、資本金はあくまで設立に用意したお金の額を示す数字だと思ってください。
ちなみに1円から会社が作れる、という表現がありますが、1円で会社を設立したら、この人は1円しか用意できなかったのかと思われますので、たとえば金融機関などから融資を受けるのは絶望的ですし、取引をしようという相手からの信用も得られにくいので、そういうのは避けたほうが賢明です。
そもそも設立の際にかかる登録免許税と公証役場での定款認証手数料だけで20万円以上かかるのですけどね。

◎「資本金」っていくらにすればいいの?
(ご質問)
会社を設立するときに、自分の手持ち資金から資本金としていくら出せばよいのでしょうか?
(回答)
資本金の額を決めるに当たって、一番よく使われる基準としては、1000万円未満にするということです。
皆さんが普段買い物をするときに消費税を5%分支払います。この支払った消費税は、お店が一時預かります。そして、もらった消費税の額からそのお店がやはり買い物をして支払った消費税の額を差し引いた額を、お店は国に納めることになっています。ただし、資本金1000万円未満の会社は、最初の2つの年度のうちはこの国への納税が免除される、つまりもらった消費税をそのまま自分のものにすることができるというわけです。 これを使わない手はないというわけで、資本金を1000万円未満にしましょうということです。ただし、平成24年から制度改正がありまして、年度の前半で1000万円売上があった会社は翌年から国に納めなければならないとされていますので、設立した当初からガンガン売り上げが発生する場合はこれを気にしなくてもよいです。
また、法人税の方ですと毎年黒字赤字に関係なく支払わなければいけない「均等割」という税金があります。これが1000万円以下ですと毎年7万円ですが、1000万円を超えると18万円になります。
1000万円未満でいくらにすればいいかといいますと、結局はどれだけのお金を用意できるかというのが第一になります。
そして、これから事業を始めて、そして続けていくにあたってどれだけのお金がかかるのか、それを検証した上で必要なお金を用意します。起業するにあたって事業計画書を作りましょうという方がいらっしゃいますが、銀行など第三者からお金を調達しない場合は必ず事業計画書を作らなければならないというわけではありません。
ただ、お金の出入りについて検証しなかった場合、資金がなくなってあっという間に倒産、という可能性もありますので、せめてこの部分だけでも計画を立てる必要があるかと思います。どのぐらいの期間を考えるかといいますと、それは人それぞれですが最低でも3ヶ月、慎重な方は1年ぐらい、売上が1円もなかったとしても会社がやっていけるという基準で計画を立てたほうがよいかと思います。
ただし、許認可で資本金の額の下限が設定されている場合がありますので(建設業の500万円など)、この場合はこれに従わなくてはなりません。

◎「現物出資」って何?
(ご質問)
会社を設立するときに、お金がないので代わりに持っている物を現物出資という形で出すことができると聞いたのですが、これで大丈夫なのでしょうか?
(回答)
「現物出資」とは、お金ではなくて、物を会社に譲り渡し、それをお金に換算してその額を資本金に組み入れるという制度です。
この「物」は何かというと、会社の財産状況を表す貸借対照表というものがあるのですが、そこに資産として載せられるものならほぼなんでもかまいません。
これを行う場合の制限として、資本金に組み入れる額が500万円を超えてしまうと、裁判所・税理士・不動産鑑定士の方などの証明書が必要になってしまいます。もちろんこの場合は費用も時間も余計にかかりますので、もし使うなら500万円までにすべきということになります。
そして、不動産や自動車を提供した場合は、当然名義も会社名義になりますので、その名義変更の手続きや費用もかかります。
そもそも現金が全くないので現物出資をしようとしても、会社にお金がないことにはなんの変わりもありませんので、もし現物出資をするのであれば、許認可で資本金の下限が決められていて、用意できる現金がその額にもうちょっと足りないといったときにそれを物でカバーするといったときぐらいがよいのではないかと思います。

株に関して・・・よくあるご質問をピックアップ

◎1株っていくらにするものなの?
(ご質問)
資本金の額は決まりましたが、1株いくらって決めなければいけないんでしょ?普通いくらにするものなんですか?
(回答)
「株式会社」ですので、出資者に対して、出資した額に応じ株式を渡さなければなりません。そこで、その1株あたりの単価を決める必要があります。
これは10年程前までは5万円以上と決められていまして、そのため1株5万円としている会社が多いです。もっとも最近では1株1万円というところもよく見かけます。
どうやって決めたらいいかといいますと、まず前提として後から出資者を募って株式を追加で発行する場合、その前に発行した株式の単価よりも下回る、安い値段にしてしまうことは当然ですが非常に難しいです(前に出資した人がこれを知ったら下がった分を返金しろと言い出しかねません)。
ですので、最初に単価を高く設定してしまうと、次に誰かから出資してもらうときに単価を上げてしまうとそれだけ出資をするハードルも高くなってしまいます(1株100万円だと最低でも100万円なければ出資できないということになってしまいます)。
逆に安すぎると、株式の数が増え過ぎてしまい、いろいろな人へ株式がばらけてしまうことが考えられます(昔ライブドアが1株を100株に分割したのは、株式を安価で多くの人に提供したかったからという理由があります)
そのため、先々のことを考えると従来のとおりに設定したほうがよいと言えます。迷ったら5万円か1万円でよいと思います。

◎発行可能株式総数って何?
(ご質問)
定款を作成していると、「発行可能株式総数」というものを書かなければならないようなのですが、これって何ですか?
(回答)
一言でいうと、将来どこまで資本金を集める予定か、ということです。
そしてそれを金額ではなく、株式の数で表します。
もし将来1億円を集める予定であれば1億円を、先程決めた1株の単価で割った数字が発行可能株式総数ということになります。
これは将来的にベンチャーキャピタルなどに出資してもらったり株式の上場を考えているようなら、大きめにすべきでしょう。
逆に小さく事業をやっていくのであれば、法人税の均等割りを理由に、1000万円を天井にして、1000万円を1株の単価で割った数字にすればよろしいかと思います。

◎二人以上で会社を始める場合の注意点は?
(ご質問)
自分で全てお金を出して会社を作るのですが、一緒に仕事をする仲間が2人います。彼らをどのような立場にすべきなのでしょうか?
(回答)
彼らを従業員とするか取締役とするか、という点を考慮する必要があります。
取締役の特徴を挙げてみます。
・株主総会で選びます。つまり採用は株主が行ないます。
・役員は任期というものがあって、一定の期間が経過したら、再度株主総会で選ばれない限り取締役ではなくなります。
・毎月の給料は一定の額です。基本的に1年間増やしたり減らしたりできません。
・ボーナスは法人税の計算のときに会社の経費として扱われません。
ではこれをひっくり返してみましょう。従業員の特徴です。
・採用は会社が決めます。まあ小さい会社ならここはどちらも変わりはないでしょう。
期限をあらかじめ決めなければ、ずっと雇うことになります。辞めさせたいときは解雇することになります。しかし、解雇は法律上ものすごく制限されています。
・毎月の給与は業績給などもありえます。
・ボーナスも会社の経費扱いになりますので、1年の終わりが近づいて、今年は儲かりすぎたという場合にボーナスという形で税金を抑えることができます。
これで比較してみますと、取締役はお金の自由が制限されている代わりに、ずっといてもらうわけではない、従業員はお金の自由はあるが、何かあってもなかなか辞めさせられない、ということになります。ですので、他の方を従業員にするか取締役にするかはこの点も踏まえてください。 一応法律上の役員の肩書きは「取締役」と会社の内容をチェックする「監査役」のみです。最近はCEOとか執行役員などありますが、特に法律上の用語ではありませんので、取締役にはしたくないけど対外的に権限を持っているように見せたいのであれば、「執行役員」はかっこよさも含めてお勧めです。

出資に関して・・・よくあるご質問をピックアップ


◎出資者が複数いる場合に注意すべきことは?
(ご質問)
2人で出資して会社を設立しようと思います。どのような点に注意したらいいですか?
(回答)
2人以上で出資しようという場合によくありがちなこととして、2人で同額ずつ出資して同じ数の株式を持つという状態があります。
会社で意思決定するときは株主総会というものを開いて決めますが、そこでの決定方法は原則株式の数の過半数です。2人の意見が割れたら片方が賛成しても半数の株式しか賛成していないことになりますので、否決ということになります。
したがってこの場合は現状と何も変わらない状態が続くことになるわけです。
そうなると少しだけ差をつけてそれぞれ51%・49%の株式を持つようにする必要が出てきます。しかしこの場合49%の人はそれなりにお金を出しているのに、意見が割れたら絶対に自分の意見が通らないわけで、果たしてそれでうまくいくのか?ということになります。だったらむしろ1人で頑張って全額出して、もう1人は従業員という形にした方がすっきりするという考え方もあります。もっともこの問題はお金を出す人の数が、2人の場合に限らず偶数の場合は必ず出てくる問題です。

◎出資者が複数いる場合に注意すべきことは?その2
(ご質問)
2人で出資して会社を設立しようと思います。どのような点に注意したらいいですか?
(回答)
前回の続きです。
2人以上で出資しようという場合に、知っておきたい3つの数字をご紹介します。
67%・51%・34%の3つです。51%は前回お話しましたね。会社の意思決定は株主総会にて株式の過半数で決めるとお話ししましたが、定款という会社の法律的なルールブックを変更したい、あるいは同業他社を合併して大きくしたい、といった大きな変更については、3分の2以上の株式で決めなければならないことになっています。
そこで出てくるのが残りの2つの数字です。67%の株式を持っていれば、これらの決定事項も自分1人で決められますし、逆に34%以上持っていれば、他の出資者がこれらを決定しようとする場合、それにストップをかけることができます。
2人以上で出資する場合、この3つの数字は必ず頭に入れて、出資する割合を決めてください。逆に誰かに出資を頼まれた場合は、34%の割合も持てないのであれば、出す意味はないという考え方もできます。配当をたくさんもらえるなら別ですが、株式上場していないのに配当を出す会社なんてめったにありません。

◎親戚や友人に出資をしてもらった場合に注意すべきことは?
(ご質問)
資本金500万円で会社を作りたいのですが、どうしても100万円を調達できなかったので、定年退職して割合お金に余裕のありそうな叔父に100万円を出資してもらうよう頼んでみたところ、あっさりOKしてくれました。なんか気をつけた方がよいことってありますか?
(回答)
どうしても資金が足りない場合、融資を考えるよりは返済の心配がない出資を選ぶのは賢い選択だと思います。
このように、出資してくれる方が一緒にその事業をやってもらえない場合、要はお金だけ出してもらっている場合、この人が親戚や知人だったときにあることですが、向こうは出資、つまり会社がなくなるまでお金が返ってこない出し方をしたつもりはなく、貸したつもりだった、ということがあります。
この場合、その人が金銭的に苦しくなってくると貸していたお金を返せといってくることがありますので、これはお金の貸し借りではなく、出資なんだということを説明した上でそういった出資の内容をきちんと書面で交わしておいた方がいいでしょう。
これが元で親戚・友人関係の断絶や裁判沙汰になってしまう可能性もありますので、ご注意ください。

◎地方公務員の親戚や友人に出資をしてもらった場合に注意すべきことは?
(ご質問)
資本金500万円で会社を作りたいのですが、どうしても100万円を調達できなかったので、地方公務員で割合お金に余裕のありそうな叔父に100万円を出資してもらうよう頼んでみたところ、あっさりOKしてくれました。なんか気をつけた方がよいことってありますか?
(回答)
地方公務員法では、原則として営利企業の役員等を兼ねることができないことになっています。
ここで、発起人は「役員等」に入るのかということになりますが、A氏がお勤めの地方自治体の人事委員会規則などを見ていただき、そこに発起人が含まれると書かれていれば兼務できないということになります。
各地方自治体ごとに違いがあり、たとえば下の大阪府ですと許可が必要とされています。
http://www.pref.osaka.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/ak20102771.html
ただし、実際に発起人になったことがお勤めの地方自治体にばれるかというと、あまり考えられません。
発起人になったことは定款に記録されますが、それ以外に外部に公示されることはありません。
地方公務員ではなく、会社員の場合ですと就業規則になります。
ただし、就業規則で発起人が禁止されていたことは経験上ありません。

◎取締役が2人以上いる場合に…。
(ご質問)
友達2人と、3人で会社を興します。お金は全額自分が出しますが、みんな仲良く取締役にしようと思います。この場合に何かトラブルになりそうなことってありますか?
(回答)
取締役が2人いる以上の問題ですが、これは取締役の中で会社のトップにあたる代表取締役をどうやって決めるか、ということです。
取締役3名以上、監査役がいて取締役会を置いている会社の場合は代表取締役は取締役会で決めなければいけませんが、そうでない場合は2つの方法が考えられます。
「株主総会で選ぶ」「取締役の合意で決める」の2つです。
これはたとえば出資者が自分1人で取締役は自分も含めて3人、なんて場合は前者がいいですよね。取締役の合意にしたら、他の2人が結託してクーデターを起こせますからね。逆にお金だけ出している出資者がいるのに株主総会で選ぶにしますと、もしその人が株式を過半数持っていなかったとしても、株主総会を開いてお伺いを立てる形をとらないといけなくなります。ですので、役員の構成と出資者の構成を照らし合わせて、便利な方を選んでいただきたいと思います。

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