HOME > コラム > ㉖『会議室にいる!困った人対策シリーズ』2

今回は、“人の意見を批判しがちな人を、どうしたら傷つけず止めてもらえるか?”という事について、お話ししていきたいと思います。
●人の意見を批判する人がいて、発言がでない事はありませんか?
人の意見をすぐに批判してしまう人がいる会議の特徴は、周りから意見がでない事です。
批判をしている人は、アイデアの完成度を高めようとして、よかれと思い言っているのですが、周りの人からすれば「この人の前では何を言っても怒られる」と思ってしまいます。
ですから下手に意見を言って嫌な思いをするならば、いっそ黙っていようと決めてしまうのです。黙っている参加者が多いと会議の意味があまりなくなり、一方的な情報伝達で終わってしまいます。以下の2つの方法を行う事で、批判する人をだいぶ防ぐ事ができます。
<方法1> 会議のやり方を先に伝える
<方法2> 建設的な案に言い直してもらう
それでは、次から具体的な説明をしてまいります。
●<方法1> 「会議のやり方を先に伝える」とは?
以前からのコラムでもお話をしたように、会議では『アイデアを出す過程』と、『アイデアを絞る過程』を分ける事が大切です。簡単にご説明しますと、『アイデアを出す過程』ではアイデアをとにかく出します。
この時は、どんな意見であっても否定はせず、次々に新しい意見を出します。
そして、アイデアを出し尽くした頃「いっぱい意見が出たけど、どれがいいか絞っていこう」と言い、アイデアを絞ります。
これが『アイデアを絞る過程』です。このように、『アイデアを出す過程』と『アイデアを絞る過程』に分けると、議論が堂々巡りにならないので、密度の濃い会議ができるようになります。
会議が始まった直後に過程を分けて話し合う事を伝え、参加者から同意をもらってください。
そうすれば、『アイデアを出す過程』で批判をしてきた人に対して、「あ、今はアイデアを出す過程なので絞るのは後にしましょう。
代わりに何か意見はありませんか?」と、たずねてあげましょう。
このようにすれば、事前に決まっていた話し合いの順番と違う事を指摘するだけなので、指摘された方も傷つきません。
●<方法2> 建設的な案に言い直してもらう会議中、批判をする人がいた場合、それを建設的な意見を出してもらうようにお願いします。しかし、お願いの伝え方を間違えると火に油を注ぐことになります。
一番ありがちな伝え方の失敗は、下記のようなものです。「批判だけではなく、建設的な意見をお願いします」
これは、相手のプライドを傷つけてしまうので、相手からの反発を招きます。
そこで、下記のような手順で建設的な意見を出してもらうようにお願いをしましょう。

<手順1> 相手の意見を認める
相手の意見がたとえ“批判”であっても、一旦は認めます。批判したがる人は、『自分の意見は正しい』と信じて批判をしています。ですから、正しいと信じる気持ちをくみ取る方が、スムーズに対応ができます。
具体的には、「おっしゃる通り、その部分はきちんと考えないといけないですね。さすが大事な所を押さえていらっしゃる」という感じで伝えます。

<手順2> 批判してきた内容をホワイトボードに書く
手順1のように、批判してくる人の話を受け止めた次は、その批判内容をみんなが見えるよう、ホワイトボードに書く事です。そうすれば、批判をしてきた人も自分の話を受け止めてくれたと強く感じてくれます。
また、くだらない批判であれば、「くっだらない批判だな~」という空気が会議室に流れるので、以後、下手に批判ができなくなります。

<手順3> 建設的な意見を出してもらうようお願いする
次に、建設的な意見を出してもらうお願いをします。具体的には、下記のような伝え方が良いでしょう。
「ご指摘いただいた部分は、アイデアを絞る時の参考にさせて下さい。
ところで、『こうしたら良いよ』というアイデアはありますか?」批判する人にとって一番困るのは、上のような『建設的な意見を出してほしい』というリクエストです。
批判する人は、批判するのは上手なのですが、あまり自分の意見を持っていない事が多いように感じています。ですからあえて、手順1と2を踏まえた上で『建設的な意見を出してほしい』と言い、批判する人をあえて困らせる事も必要です。
批判する人が内心「こいつの前で、批判をすると、すぐに代案を出せと言われるからな・・・」と、少しずつ批判が減ります。
●「批判をしてくる人の心理」とは?
批判のための批判をする人は、どうしてそうした問題行動をするのでしょうか?
その原因は、“自分にかまってほしいから”です。
たいていの人は、他者から自分を認めてもらいたいと強く思っています。
その気持ちをどのように表現するかは人によって異なります。
たとえば、“営業成績を上げる事で周りから認めてほしい人”
または、“飲み過ぎて大失敗した過去を伝説として扱ってもらい、自分はすごい奴だと思ってもらいたい人”
などがあると思います。
その一部に、“誰かの意見の欠点を見つけて指摘する事で、自分の洞察力を認めてほしい人”もいます。
この人が、会議での批判者になるのです。本人としては、批判する事で洞察力を褒めてほしいのですが、周りからするといい迷惑です。
しかし、周りが迷惑している事には本人は気づかないのが特徴です。
本来は、批判のための批判は止めてもらうようお願いをするべきですが、その人の根源的な部分を指摘するため、よっぽど信頼関係がある人でないとうまくいきません。ましてや、みんながいる会議中ではあまり本人が傷つく事を言わない方が良いでしょう。
ですから、ここまでお話してきたような方法で、相手を傷つけずに批判をやめてもらうようにしましょう。

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